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11月理事会 理事長あいさつ

2019.12.02

一気に冬の訪れを感じる季節になり、最近言われる秋の短縮を実感する毎日です。今年もあと1か月を残すだけとなりました。良い締めくくりができるよう頑張りたいものです。

秋の短さとは反対に、安倍政権は11月20日で歴代最長政権になったと報道されていました。新聞論調もその評価は様々なようで、長期政権に見合う歴史的な成果は心もとなく、年を追うごとに弊害が際立つことを指摘するものも少なくなかったように思います。アベノミクスの下で株高が演出され、企業収益や雇用の改善につながっても、賃金は伸び悩み、国民が広く恩恵を実感できる状況にはなっておらず、消費税増税での不況も懸念されています。安定基盤を生かして少子高齢化の難題に切り込むどころか高齢者負担を増す政策ばかりが続いています。自慢の外国首脳との個人的な関係も、アメリカには腰が引けて軍事物資の爆買い、農産物関税の譲歩、思いやり基地関連予算の増額を次々強要され、韓国へは意味なく居丈高な態度で関係はこじれ、中国には遠慮して香港の民主化運動へ何も意見できないような状態です。

こうした一方で、長期政権の弊害は明らかで、権力の集中が進み、自民党や政府内にも忖度がはびこり、公文書は平気で改ざんや破棄され、政治や行政に対する国民の信頼を深く傷つけています。桜を見る会の招待者の問題にしても、森加計問題に続いて「お友達」に税金を使って恥じない政権の在り様を見せつけた挙句、見積書はない、領収書はない、名簿はないの「ないないづくし」で逃げ切ろうとしています。「桜」問題に安倍政権の体質が凝縮しています。権力は長ければよいというものではありません。

こうした安倍首相の言動と好対照を見せたのは長崎と広島を訪れて、国際社会に向けて、核廃絶のための団結を呼びかけたローマ教皇の姿でしょうか。「世界は手に負えない分裂の中にある」「相互不信が、兵器の使用を制限する国際的な枠組みを崩壊させる」「核の理論によって促される、不信と敵意の増幅を止めなければならない」と政治指導者に向けて述べたと思われる一方で、相互不信をなくす取り組みは、政治指導者だけの課題ではないと指摘し、「すべての人に関わる、これからの世代に対する責務だ」と語りました。そして、未来の世代には「二度と繰り返しませんと言い続けるために記憶すること」「自分だけの利益を追わず、平和に向かって共に歩むこと」「戦争や兵器はもういらないと叫び平和を守ること」の3つの行動を呼びかけました。安倍首相とローマ法王、比べるべくもありませんが、言葉の深さと重みの違いにため息が漏れそうです。が、嘆息して済む問題でもなく、長期政権がまき散らす弊害に負けずに頑張ってまいりましょう。