12月10日、ノーベル平和賞の授賞式がノルウェーの首都オスロで行われ、被爆者の立場から核兵器の廃絶などを訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会にメダルと賞状が授与されました。 演説を行った代表委員の田中熙巳さんは「核兵器をなくしていくためにどうしたらいいか、世界中のみなさんで共に話し合い、求めていただきたい」と訴えました。田中さんが「原爆で亡くなった死者に対する償いは日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいと思います」と強調されたことも話題になりましたが、下記の講演内容に注目された方も多いのではないでしょうか。引用してお伝えします。
~原爆被害者の現在の平均年齢は85歳。10年先には直接の被爆体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれません。これからは、私たちがやってきた運動を、次の世代のみなさんが、工夫して築いていくことを期待しております。一つ大きな参考になるものがあります。それは、日本被団協と密接に協力して被団協運動の記録や被爆者の証言、各地の被団協の活動記録などの保存に努めてきました、NPO法人の「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の存在であります。この会は結成されてから15年近く、粘り強く活動を進めて、被爆者たちの草の根の運動、証言や各地の被爆者団体の運動の記録などをアーカイブスとして保存、管理してまいりました。これらを外に向かって活用する運動に大きく踏み出されることを期待いたします。私はこの会が行動を含んだ、実相の普及に全力を傾注する組織になってもらえるのではないかと期待しています。国内にとどまらず国際的な活動が大きく展開してくださることを強く願っています~
ここで紹介された「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」ですが、大江健三郎さんなどの呼びかけで2011年12月10日に発足したNPO法人で、原爆被害の実相と、被爆者が遺してきた証言・記録・資料を収集、保存、普及、活用し、その記憶遺産の継承をめざす事業を行い、「ふたたび被爆者をつくるな」という願いの実現に寄与することを目的としています。私も本会の設立以来の会員でありますが、この理事会にご参加の皆様にも改めて入会を呼びかけ、また募金等をお願いするものです。どうぞよろしくお願いいたします。