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1月理事会 理事会あいさつ

2021.2.08

ご存じの通り、新型コロナウイルス感染の拡大が止まらず、医療現場のひっ迫が深刻化しています。神奈川県では先週末の時点で自宅療養者が5,000人いて、昨日の入院待機者は91人、一人の患者の入院病床確保に数時間かかかる状態となっています。町の様子は一見何の変化もありませんが、一般の人には見えない医療現場では医療需要が供給をはるかに上回る「大規模災害時レベル」と私たちは表現しています。医療現場での命の選別;トリアージや、一度救急車に乗せた患者を仕方なく自宅に戻すといった「異常事態」まで現実化しています。こうした通常の医療ができなくなった状況下で、神奈川県ではいち早くいろいろな見直しがされていますが、一つは積極的疫学調査の見直しで、市中にコロナが蔓延しているときに濃厚接触を追いかける調査は病院や施設、学校などに限定して行う。二つ目は、在宅やホテルで療養する患者のモニタリングを重点化する、三つ目は、これまで新型コロナ感染患者を受け入れてこなかった医療機関にも患者の受け入れを要請し、幅広く地域全体で対応していく体制を作る方向での見直しです。

法人内では、汐田総合病院を中心に、かかりつけ患者や地域の患者さんの困難を視野に入れて、検査機能の充実、発熱外来の設置、疑似症患者の入院をいち早く行い、そして1月からは軽症陽性患者の受け入れを開始していますが、地域医療機関として意義ある活動を展開してきたと確信しています。感染爆発をきたした今思えば、全事業所職員、特に宮澤病院長を先頭にした病院役職員の奮闘に敬意を表したいと思います。これからも、近隣医療機関との連携や協力を一層強めながら、医療現場での対応を継続して参ります。 

しかしながら、医療現場だけの努力だけでは乗り切れそうもないのが現在の状況で、今こそ政治の役割、科学と政治の連携が大切な状況でもあると思います。医療従事者に限らず、国民の多くがゴールの見えない中でマラソンを強いられているように疲弊し、一部はコロナ慣れして感染拡大に関与しています。いま政治に求められているのは、流行を抑制し、医療崩壊を防ぎ、経済的困窮者を救い、集団免疫獲得の状況まで国全体を持ってゆく、その全体像を国民に示して着実な前進を目指すこと。そのために、国民に丁寧な説明を尽くし、科学的知見に裏付けられた方法で実践する。政治に求められていることはそういうことであって、それらがしっかり国のリーダーから発信され、実践されれば、ベクトルを一致させることのできる国民性を日本人は持っているはずです。

特別措置法や感染症法の改正で患者や病院を罰則で縛る前に、十分な説明や議論をして、国民や医療従事者が納得する対策を打ち出してほしいと切に思います。