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8月理事会 理事長あいさつ

2021.9.08

開催に異論が多かった五輪が終わりましたが、感染拡大が続いています。23日には、国と東京都が東京都内の全医療機関に新型コロナウイルス患者受け入れを要請すると決めたようですが、従わないと病院名を公表する“踏み絵”のような強硬策に現場からは怒りの声が上がっています。自宅療養患者も増加の一途で、療養という名の放置、究極の自己責任とも言える状況です。

緊急事態宣言下でも洪水のように提供される五輪報道を複雑な思いで見た人も少なくないのではと思います。祭りと自粛がセットになってしまった矛盾メッセージで、感染拡大防止に努める国民の緊張感が緩んでしまったことを多くの人が指摘していますが、政府や東京都のトップは五輪開催と感染拡大との関係性を否定しています。無責任のそしりを免れないというべきでしょう。五輪を成功させるためにと、大勢の努力もあったことでしょう。しかし、五輪を強行してこれだけの感染爆発をきたして釣り合う成果があったのか、はなはだ疑問です。

全体に責任を負う者は、最悪の状況を想定し、対策を立て、説明責任を負うものだと思ってきましたが、この国の責任者は一貫して「意味のある言葉」「責任ある言葉」「誠意のある言葉」というものを壊し続けてきましたので、この国家的危機にあって国民の心に届く言葉というものをもはや発することができなくなってしまったのだと思います。ある人は、今国民の間で広く起きているのは信頼を失った政治へのネグレクト(無視や放棄)だと言っていました。考えただけでも大変な事態です。

そうした社会政治状況の中で、唯一光明を感じたのは先日の横浜市長選挙の結果でした。もちろん、今回の市長選挙の最大の争点はカジノ誘致の是非でしたが、この間の新型コロナウイルス対策をめぐる「菅政治の無為無策」に対する広範な怒りが、市民と野党の共同候補者に寄せられたことは多くのメディアの指摘するところですし、私たちの実感だと思います。これで横浜が安泰というわけではありませんが、やはり政治に背を向けるのではなく、政治に要求をしてゆく姿勢が大切なことを示していると思います。

とにかく、感染拡大を止めないことには医療病床や人員がいくらあっても足りません。今の状態でも政治ができることは、検査機能の拡大、ワクチンの確保、抗体カクテル療法が有効なら外来でもできるようにすること、あらゆるコロナ対策について国会を開いて議論する等です。責任ある政治のイニシアチブを引き続き求めてゆきましょう。