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11月理事会 理事長あいさつ

2016.12.01

 上半期の総括が終わり、下半期に入っていますが、下半期活動は来年度の活動方針
や予算作りが同時並行的に行われますので、法人・事業所にとっては大変忙しさを増
す時期になります。
先日には、来年度の大まかな予算作りの方針である予算大綱を法人でも作りました。
こうした作業は、国レベルでも同じように進んでいまして、最近財務相の諮問機関で
ある財政制度等審議会が2017年度予算編成に向けて歳出削減を求める「建議」をまと
めたことが報道されていました。その最大の目標は社会保障費削減で、その結果、医
療や介護などの負担増、給付削減を次々に迫るものになっています。つい昨日、今日
の新聞にも、我々現役世代の介護保険料を来年夏にも引き上げるとか年金抑制法案の
強行採決などの報道がありました。
既に安倍政権は社会保障費の「自然増」を3年間で1兆5000億円規模(年間5000億円)に
抑え込む方針を出していて、16年度には診療報酬のマイナス改定をするなどして削
減・圧縮を実行しています。そもそも社会保障費の自然増は、高齢化の進展や医療技
術の進歩などに伴うもので、年間に約8000億円から1兆円程度あると言われていま
す。これを無理やり5000億円に一律カットすれば、社会保障のあらゆる分野で深刻な
矛盾やひずみ、機能不全が起こるのは当然です。にもかかわらず、17年度にも同様の
社会保障費の自然増抑制、歳出削減を実行する国の予算編成が現在進んでいるわけで
す。
その結果生じることについて、国のレベルと横福協のレベルで考えてみたいと思いま
す。一連の歳出削減策は、国の社会保障制度の持続可能性のためなどとしています
が、所得が増えない中での国民生活は持続不可能になります。また、削減ありきの負
担増は患者や要介護者の重症化を招いて、かえって社会保障費を増大させることにも
なるでしょう。さて、医療・介護の世界で事業を営む横福協にも、国の歳出削減策は
今後も大きな影響を及ぼし続けることが予想されます。これまでも大変な制度改悪
を、役職員の団結と創意工夫、身を削る努力で乗り越えてきました。しかしながら、
経営黒字を出しながらも十分満足できる職員への還元には至らなかったかもしれませ
ん。時代環境は有無を言わさぬ社会保障削減路線が進んで行く状況にあり、さらには
消費税増税の可能性も残っていると考えなければなりません。
これに対して、「経済財政運営の失敗を社会保障分野につけ回しするな、適切な税の
集め方と使い方に改めよ」とする政治社会的闘いはとても大切な事でしょう。その一
方で、時代の流れを先読みつつ、大局的で科学的な目で足元を見つめて、法人事業所
内部での経営上の弱点の克服、働き方の見直しといった自主的努力もなしでは済まさ
れない状況に一層なってゆくと思います。国の財政審の動きを見て、内外に向けた闘
いのバランスを適切に取りながら、今後の法人運営をしてゆかなければならないと、
財政審の動きから改めて考えた次第です。