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2月理事会 理事長あいさつ

2020.3.03

新型コロナウィルスの影響がじわじわ広がっています。行政関係の会合・研修会、看護学校の卒業式参加から個人のお別れ会まで、不要不急の会合自粛の連続で地域経済への影響も少なくないと想像できます。既に感染経路が不明な患者が国内各地で発生し、市中でも見えない感染が相当規模で広がっていることを前提にした対応が求められる段階にきています。新型コロナであっても、通常の風邪と同じような症状の人も少なくないと予想されるところから、市民とすれば、濃厚接触者や流行地域へ行ったことが無い人で軽症なら、自宅療養し咳エチケットや手洗いをこころがけるという対応も大切とされています。病院の悩みは、PCR法という診断検査がインフルエンザのように容易にはできないなかで、感冒様患者さんの外来診療を規制できず、肺炎をきたした患者さんは病床が空いていれば入院治療を考慮せざるを得ず、それがもし新型コロナウィルスによるものである場合、厳重な診療規制を受けたり、職員の感染者やその接触者に長期間の出勤停止を考慮したり、診療への深刻な影響が懸念されることです。いずれにせよ、正しく恐れることが大切で、市民の公衆衛生に基づく冷静な対応と医療関係者の日頃の感染予防策の徹底で流行を最小限に食い止めることが必要な状況と思います。(2月22日現在の状況を反映)

さて、新型コロナウィルス問題の陰で、国会では「桜を見る会」の私物化問題で首相答弁が矛盾を深めています。もはや自らの疑惑を日本語で説明し晴らすことができないため、公文書を破棄させ、問題ないと強弁し、国民代表をヤジって恥じない人が政権を担っている国の不幸、社会矛盾の大本であることを感じない訳にはいきません。

一方で、こうしたとんでもない政権が簡単にはひっくり返らなくなった日本の現状、現政権の強権主義・権威主義を支持する国民が少なくない今の日本社会の変容ぶりも無視できません。そうした現象は欧米をはじめとして世界的なようで、民主主義の後退、衰退、劣化、反動などという言葉を目にする機会も増えています。歴史的に見ると、自由主義や民主主義の高揚には波があって、その後にはファシズムやポピュリズムなどによる揺り戻しが起きることが多いのだそうですが、安倍政権の権威主義・強権主義もその流れなのかもしれません。先進国におけるこうした変化の最大の背景は中間層の縮小にあるとする論説を最近よく見ますが、日本でもそれと関係した若者の保守化が指摘されています。将来への希望を持てない格差社会の中で、中間層から蹴落とされるか、されそうになって必死に現状適応しようとしている階層が、今より悪くなっては困ると現状を肯定し、民主主義ではなく権威と強権で秩序を守ることを支持する。そして、権利としての社会保障を信じられずに、それを享受する側の弱者を差別したり、ヘイトする側に回るという社会構造に目を向ける必要がありそうです。いずれにしても、そうした構造を作り出す矛盾の大本、腐った鯛の頭を何とかしなければと痛感する次第です。