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3月理事会 理事長あいさつ

2020.4.30

新型コロナウイルス感染症の問題が、学校、職場、地域経済にまで及んで、社会全体に重たい空気が広がっています。とりわけ、病気と最前線で対峙する医療機関、病気になりやすい要介護者と直接関わる介護事業所の苦労と悩みも大変深くなっています。ご存知の通り、全国的な、マスクをはじめとする医療資材の不足が改善されておらず、感染拡大が抑えきれていない状況の中で、病院も介護現場も、職員・患者利用者・地域医療を守るために、高い緊張度を維持しながら仕事を続けています。いつまでこうした状況が続くのか見通しが立たたず、職員も管理者も大変苦しい状況です。株価の暴落や、地域経済への影響が話題になっていますが、医療・介護界もこうしたマイナス変化と無縁ではいられず、暗い気持ちにはなりますが、この未知の経験からでも、せめて何かを学び取ってゆくというような、前向きな構えで対峙してゆければと思っています。

この間、病院では、感染制御チームと管理部が一体となり、医療資材不足と人員体制の厳しさの中で、感染対策と事業継続に力を注いできました。法人も、「医療従事者の安全を確保しながら患者の受療権と地域医療を守ること」について職員にお願いしてここまで来ました。今回の危機を通して、法人組織の危機管理能力が高まれば不幸中の幸いというべきことでしょう。しかし、介護棟建設と増床計画が具体化する当初にあって、当分の間、医業収益確保などは目標達成が難しいことになるでしょう。そうした厳しい時であればこそ、それを前提にした支出の削減、特に国を挙げての働き方改革の方針に沿った時間外労働時間の削減、材料費の無駄の削減などに意識的に着手すべきではないかと思っています。新型コロナを組織強化の「奇貨:またとない機会」にできるか、単なる「奇禍:思いがけない災難」で終わらせるか、我々の構えが問われることになるでしょう。

市民レベルで言えば、危うい国主導の危機管理には注意しつつ、無知と不安が生む同調圧力や混乱に巻き込まれず、一定の根拠がある行動制限や自粛へどう対応するか、市民社会も正念場を迎えていると思います。未知なるものと対峙する現在進行形の危機の中で、最初から正しい答えを出すのは誰しも大変な訳で、一人一人が冷静に事態を見極め、他人の間違いをせめるだけでなく、様々な立場の人との対話を大切にし、自分も間違えれば潔くやり直す。そういう市民感覚を発揮する時でもあると痛感します。皆さん新型コロナに負けずに頑張りましょう。